100ワニ感想(ネタバレ?あり)

映画「100日間生きたワニ」を見てきたので感想。

 

ネタバレ含むのだが、SNSで無料公開された作品のネタバレは流石に気にする必要なかったかもしれない。

 

 

この映画はツイッターでやたら評判が悪かったので、本当にそこまでつまらないなら見ないと勿体ないと思い見に行った。

 

実際見たら事前の評判のほとんどが誇張されたものであり、わたしが受けた感想は全く違うものだった。

 

1.本編の感想

 

前半は、ツイッターで公開されていたものをそのままアニメ化という感じであった。

 

ワニが死ぬ場面を先に描写→遡って日常描写→ワニの死の場面に戻る

 

という構成である。

 

日常描写が冗長に感じられて集中力が切れる場面もあったが、日常の表現というとこうなるのは仕方ないと思う。

 

面白いとは思わなかったが、つまらないとも思わず、苦痛でもなかった。そのため、プラスマイナス0という印象であった。

 

この場面の難点は2つある。

 

1つめは出だしがあまりにも日常描写に特化しているので、この出来だと過剰につまらない印象を与えても仕方ないと思えたところ

 

2つめは日常描写なのだが、フリーターで同じくフリーターでいつでも遊べる友達が近所に2人いて、バイト先の先輩に告白してOKもらえたというワニの設定が、本当に「日常か?」という疑問である。尤も作者の知人がモデルらしいので突っ込むのは野暮かもしれない。

 

1,2の合わせ技で導入の一番大事なところが、別に悪くもないけど、「わたしにとって良くもない」という感想になった。

 

ただこれはあくまでわたしにとってはプラス評価にならなかったというだけで、原作の再現という面から見ると、当然というところである。

 

見ながら感じていたことは、「この映画は原作が面白い前提で、原作が面白いと思った人向けに作られている」ということである。

よく考えたら映画ワニの作り方として当たり前なのだが、見るまで視点漏れがあったことは自らへの反省点としている。

 

なにかを作るときは、対象を想定して作るという基本に則って映画ワニを作ったとしたら文句のない前半だったのではないだろうか。

 

むしろ悪いのは、原作がそこまで好きではなかったのに、話題になったから見に行った自分の方かもしれない。原作が好きな人の同窓会を邪魔しに行ったといわれても仕方ない。

 

続いて後半である

 

後半は映画オリジナルのキャラが登場し、最後はワニのメンバーと友人関係になって終わる。

 

映画ワニはここで新キャラの扱いや見せ方が及第点ではあるものの、もっとうまい見せ方が出来たら叩かれなかったのではないかと思う。

 

2クールのアニメで後半から新キャラが登場して均衡を崩し、最後にはなじんで終わるというのは鉄板なのだが、映画という尺でやるのは冒険的過ぎる気もする。

そして、前半がワニの死で終わるわけで、1クール目が大団円で終わったわけではないのだ。

 

参考例としては、

 

カレイドスターで後半からの新キャラ

new game の新人社員

 

といったものがある。余談だが、前半が予想通り→後半に予想と違う不快展開。という流れが銀翼の魔術師とまったく同じだったので、自分が銀翼の魔術師を見ているのではないかと思って、少し笑いながら見てしまった。そもそも銀翼を見ていたおかげで耐性がついて、後半もこの程度の不満で済んだ面はあるかもしれない。

 

ただ、雑ではあるものの作品としてはきちんと見れるものになっているので、うまくまとめたということで、後半だけならごくわずかなプラスの評価になった。

 

以上より、前半後半の総合評価はとても小さいがプラス評価で、クソ映画でもつまらない映画でもないが、ギリギリ、本当にギリギリで、ポジティブな評価に分類した作品となった。

 

とはいえ、いくら原作がある作品とはいえもうちょい面白くする工夫は出来ただろとは思わずにはいられないものでもあった。

 

他の映画と比べると、ドラえもんで言うと太陽王伝説と同じぐらいの面白さ。ドラゴンボールでいうと、神と神よりはつまらないが復活のFよりは面白い。という感想である。

 

2.事前に見た評価との比較

 

いくつかリツイートで流れてきた映画ワニの感想がだいたい共通したような内容だった。見終わった後でそれらにコメントすると。

 

虚無:

これで虚無だと思う人は面白い映画だけしか見てこなかった人なのだろうと思った。デビルシャークの5000倍は濃密な作品であった。まさに面白い映画・話題になる映画しか見ていないと評価にバイアスが強くかかる事例をみたような気分になった。

 

紙芝居で動かない:

日常アニメとして十分動いて違和感一切覚えなかった。なぜこのような感想が出ているのかさえよくわからなかった。

 

上映時間を長く感じる:

前半の日常は冗長だったので理解できる。

 

電通のなんとかや作者の訴訟裁判で作品が嫌い:

広告戦略や作者の好き嫌いと、作品の面白さは切り分けて評価すべきだと普段から考えている。

わたしも某将棋の小説の作者が自分の作品に向かって「今最も現実に追い抜かれている!」などと自虐フレーズを連呼しているのが、楽しく読んでいる自分たちに作者自ら水を差しに来たように思えて腹が立ってブロックした。今も作者のことははっきり嫌いである。だが、作品のことは大好きである。

 

恐らく、作者が嫌い=作品が嫌いとなってしまう、切り分けが出来ない人が多いことも、感想が異常にネガティブなものばかり目立つことにつながったのではないだろうかと予想している。

 

3.さいごに

 

異常に前評判が悪いのに映画ワニが普通の作品で、見ながら驚いてしまった。

 

  • 誇張して悪口を書くほうがバズる
  • 見もしないのに叩かれていたからつまらないと決めつけて、便乗して叩く
  • 作者や電通が嫌いだから作品も見もしないで叩く

 

といった、SNSに流れている作品の感想が信頼できなくなる要因が顔を出しすぎていると感じる。

 

誇張して書くほうがバズるからついやってしまうという人は、統計的に発生するのが自然なので、止めようがない。われわれが普段からできることはせいぜい、

 

  • エアプのままで物事をたたくのをやめる
  • 作者と作品を別個で評価する

を自然に実践できるかどうかではないだろうか。