東京五輪が開会してすでにいくつもの競技が行われている。
なお、本記事では五輪の賛否は一切話題にしない。
本記事の一番主張したい内容を最初に書こう。
「esportsの活性化に携わる人、携わりたい人こそ五輪の『テレビ中継』を見るべきではないだろうか」
さて、なぜ上のようなことを思ったか。
それはちょうどこの記事を書いているときに、普段は全く見ない、水泳の女子400m個人メドレーをなんとなく見ていたのだが、中継の見せ方が素晴らしいと思ったからだ。
競泳は各コースを個人が進んでいく競技で、ルールの説明はいらないだろう。
そこで、各コースの選手の後ろに、「1.57m/s」のように、選手の進む速度が表示されているのだ。
(昔からそうかもしれないが、全然見てない競技なので、今更の感想でも許容して欲しい)
日本の選手がリードしているが後ろから追い上げられている、後ろの選手の勢いがましているが、日本の選手の勢いも落ちていない、そういったことが目で見て確認できることに、中継技術のすばらしさに感動してしまった。
テレビで見ていて日本の女子金メダルも素晴らしく感動できるものであったが、試合の面白さがわかるようなテレビの中継があってこそだったとは思える。
さて、翻ってesportsはどうかというと、正直配信を見ていても、門外漢が楽しめるものであるかどうかは怪しいと思う。
水泳のような誰でもルールがわかるであろう種目でさえ、見ている側によりわかりやすく伝えるにはどうすればよいのかを工夫している。ゲームのように(水泳より)複雑なルールであるのならば、より工夫は必要であるとわたしは考えている。
とはいえ、わたしの特に詳しいシャドウバースは試合を見ても中継の工夫がかなり足りなく思ってしまう。
だが、esportsについての考察などはかなりSNSで回ってくる(ポジティブなものからネガティブなものまで)のに対して、中継の工夫についてはあまり語られておらず、一番大事なのに一番軽視されている内容のようにも思えてしまう。
幸い東京五輪というスポーツの代表的な祭典がある。どのように見せると競技中継が面白くなるのかという「教材」としてこれほどいいものはないのではないだろうか。
最後に、その他の内容で、わたしが面白い工夫だと思った最近の内容を紹介しよう。
ストライクゾーンが中継に表示されているのがとてもわかりやすい
また、野球もベースボールも、統計データを中継に混ぜることが非常に得意(例:この選手の打率はこれこれだが、実は2アウトからの打率はこれこれである)であり、見て「へー」となるような情報を頻繁に流してくれる。
統計データをどのように表示するかの参考として、簡単に摂取できる。
これは私見だが、野球・ベースボールが統計情報の表示を日常的にやっているのだから、esports中継も野球・ベースボールに負けないぐらいの統計表示のノウハウは構築して欲しいと思う。頭を使う競技と謡っているはずなのに、統計データの扱いが既存競技に負けているのでは悲しく思えてしまうのだ。
・周辺環境
今回の五輪はテレビを見ていて、いつもより盛り上がってない気がなんとなくしてしまう。
が、だからといって盛り上がってないと結論するのは早計である。テレビで見ているだけの体験は共通しているのに、印象に差がある。これはなぜか?というところから踏み込んで、理由を考察すべきだと思う。
自分自身となぜ盛り上がってないと感じるか対話をしてみたところ、自分自身については理由が2つだと判明した。
ひとつめは、周辺環境がこれまでよりネガティブなことである。
折角だから今やっている競技を適当に見るかと思ってチャンネルを回したら、大会自体への批判をやっている番組ばかり目に入る。見ようと思ったタイミングで常に水をされるようなものなのは、案外影響が大きい。
ふたつめは、観客の有無である。
観客の歓声がないだけでここまで差があるのかと、改めて驚いてしまった。esportsは動画配信のコメントが観客の歓声に相当している面もありそうだが、コメントは必ずしも見たいものではない。現地にいない人も参加できる実感があるというメリットも大きくはあるので、うまくいい所だけ集約できれば魅力的な中継が実現できるのではないだろうか。