宇宙規模でスプーンを考える

タイトルは豪勢だが、最近「ダンダダン」を読んだことがきっかけの感想である

 

 

「ダンダダン」の内容の紹介は置いておいて、宇宙人やUFOがらみが作中で取り上げられる。

 

登場した者についてせっかくだからwikipediaで調べ、関連事項も見てみたのだが、ひとつ気になった記述があった。

 

それは、メンインブラックについての記述である。

 

メインインブラックとは、アメリカの都市伝説のようなもので、UFOの目撃者などに口止めを要求しに来る謎の黒づくめのスーツの人たちである。

 

さて、メンインブラックの項を読んで、次のような記述がやけに気になった

 

「スプーンやゼリーの存在を知らず、初めて見たもののように振る舞った」

 

という内容である。さて、仮にこの記述が真実だとして、本当にこのようなことがあるかを考えてみたいと思う。なお、わたしが信じるかどうかには一切触れておらず、存在したらどうなるかという思考実験だということは強調しておこう。

 

まず、メンインブラックが宇宙人やそれに類する、超常的な存在であると仮定する。

 

この仮定の下でメンインブラックの記述が正しかったときのことを考えると、

 

「惑星間移動、タイムワープなどの地球よりはるかに発達した文明においては、スプーンの存在が消滅している」

 

という結論が出る。今回取り上げたのは、

 

「スプーンが全く存在しない」

 

ということがあり得るかどうかという議論である。

いくつかの場合に分けて議論する

 

1.スプーンがメンインブラックの歴史において全く存在しない

 

このようなことがあり得るかどうかを考えよう。

 

資料を探しても出てこなかったのだが、スプーンを発明できなかった文明は、地球上にはないように思える。

 

どのような発想で生まれるかを妄想してみたが、

 

口や手で水を飲もうとする → 効率が悪いとそのうち思う → こぼさず飲みたいと思う → 大きな葉っぱなどで飲もうとする → そのうち木をくりぬいてそこに水を入れればいいと気づく

 

という流れでは、自然に発想できると思う。

 

で、手で持てるぐらいに軽量化しようと思うと、スプーンが自然と生まれると思えた。

メンインブラックが高度な文明を持っているという前提があるので、「水分を要求する場面があるのならば」、スプーンを全く思いつけないということはありえないと結論していいのではないだろうか。

 

つまり、メンインブラックは、「水分を取る必要のない文明」、おそらく「水分の存在しない文明」でない限りは、スプーンを発明できないというパターンが思いつけない。そして、このパターンなら、ゼリーを知らないことも、水分が存在しないことから説明できる。

 

だが、なにかしらのエネルギー源は活動のために必要なはずである。ただ、生物がH_2Oを生産しない化学反応で生存活動をおこなうというのが、なかなか存在しづらい。

 

また、生物だとすると、地球上に降りた段階で、水分を帯びた大気がメンインブラックに悪さをして、生命の危機を招くように予想できる。

 

よって、この場合、メンインブラックはアンドロイドのような存在で、「生命が滅んだあとも文明を形成している、ロボット軍団の一種。それが地球に顔を見せた」という結論になるのではないだろうか。

 

実は、十分発達した文明で、スプーンが全く存在しなかった文明なんて存在しないだろう。存在したら木の下に埋めてもいいよ!と思っていたのだが、まぁまぁSFでありそうな設定で、矛盾のない背景が構成出来て驚いている。

 

ただ、この場合、メンインブラックの前に生物の文明があったはずで、そこではスプーンが存在していたと考えられる。

 

なので、厳密には、次の2で挙げるパターンであって、この1のパターンではないはずだ。

 

よって、当初の予想が当たったことにして、木に埋まらないで済んだことにしよう。

 

 

2.スプーンが存在したが消滅した文明

 

上で述べた、生命が滅んでロボットが残ったパターン以外で考えてみよう。

 

つまり、生命がスプーンを全く必要としなくなったパターンである。

 

このパターンでは、食事を高度に簡略化して、COMPなどの摂取だけで生活をしていると最初は妄想をした。

 

が、ここで一つ難問がある。「ゼリーを知らない」である。

 

ゼリーはウィダーインゼリーに代表されるように、食事の簡略化の代表である。

 

カロリーメイトのような簡易食糧だけが残ったのかもしれないが、水分を取る必要もある場合、高度に簡略化した文明なら、ゼリーも必ず思いつけるはずだと思う。

 

なので、このパターンはかなり厳しいものがあると思えた。

 

 

1.2.より、おそらくメンインブラックが存在するとしたら、ロボットだろうという結論に至った。

 

つまり、存在しない or 存在してもロボットという結論になったということである。ここから、メンインブラックが宇宙人であるとは、少なくとも考えづらいとなった。

 

追記

 

ツイッターで、

 

「水中で発達した文明なのでスプーンやゼリーが存在しない、地球には与圧パワードスーツを着て来ている」

 

「体表などから必要な栄養素を直接取り込むので、口から食事を取るという概念がそもそも存在しない」

 

というパターンの指摘を受けた

 

水中文明のようなパターンがあるか考えてみたが、我々が深海王国に潜水服を機て遊びに行って、深海王国で、「空気を圧縮して味を付けた謎の食べ物」と、「崩さないように空気を食べる(想像もできない)謎の食器を与えられたら、おそらく何が起こったか理解できないだろうから、一理あると思えた。

 

表面から直接摂取するパターンは確かに思考上はあり得るが、なにかしら有害なものを誤って摂取する危険性が高いので、空気のような実体を持つものを取り込むのではなく、光を取り込むような光合成に近いパターンだろうと予想する。

 

 

おまけ

 

今回のこの思考実験は、わたしが普段からかなり好きなタイプの思考実験である。わたしの好きな思考実験で共通するお題は、「地球の常識のうち、どのような文明でも100%思いつける常識はどれか」というものだ。

 

例えば、10進法がこの思考実験の代表である。人間の指が10本だから10進法というのは有名だが、この10進法でなかったら、「いくつ」進法がもっとも妥当であるかという思考実験であった。

 

ここで、

 

1日=24時間,、1時間=60分

 

などに注目してみる。これらは10進法よりはるかに効率のいい数え方である。

 

24は、約数が8個ある数のうち、最小のもの

60は、約数が12個ある数のうち、最小のもの

 

である。時間のような単位は等分割することが多いので、「約数が一定以上あるもののうち、最小のもの」として設定することは、非常に理にかなっている。

 

なぜ約数が多い方が楽かの説明はいろいろあり、例えば九九で2の段と5の段が他より楽なのは、10の約数だからである。そのため約数が多い数を基準にものの数え方をするのが妥当である。

 

他には、8進法も2進法の拡張として自然な採用であるとも思える。特に指が3本の宇宙人は、8進法を採用することが自然なのではないだろうか。

 

よってここまでで10進法は地球だけの常識と結論できるかというと、まだ議論には漏れがある。

 

ここまでの議論では、まだ、高度に発達できる文明を持てる生命は、「指が10本である可能性が高い」という仮説が残る。これがもし成り立つとすると、10進法は地球のローカルルールとならず、ユニバーサルなルールである。

 

片手の指が5本であることが、3本、4本、6本と比べてどのようにメリットが生まれるかと、その検証方法がわからないので、これは仮説だけ挙げて検証せずに終わる。

 

おまけ2

 

ドラゴンボール超で最近おこなった、地球の常識思考実験も紹介しよう。

 

ドラゴンボール超で、どうも宇宙全体で10進法を採用しているのが最近気になったのだが、全王様が指が10本なので、それ基準で考えたということで納得がいく。

 

ただ、宇宙が全部で12個なので、全王さまに合わせない場では、10進法を使ってないのではないかと思った。

 

理由は、足して13になる宇宙がワンセットという設定があるからで、これがあるなら、13進法の方が自然である。だが、宇宙はもっとたくさんあったが全王様が消したらしいので、本当は24進法かもしれない。

 

さて、なぜ13進法の方が自然かというと、宇宙の設定が、「補数」の概念を持っているからである。

 

補数とは、1と9、2と8のような概念であり、ドラゴンボール超の足して13になる宇宙がワンセットと非常に似ている概念だ。

 

考え方は、10本の指で2を数えるとしよう。すると、2本立てて、8本立ててないはずだ。ここで、立ててない数だけものを数えるというように、指を立てる・立てないの芋を逆転させると、2は8に移る。

 

これを、2と8は互いの補数となっているのように表現する。

 

そのため13進法の方が自然なのだが、全王様に合わせる世界なので、宇宙があと3つぐらいは消え去るのかもしれない