重戦機エルガイム感想

全54話完走したので感想

 

 

以前も見たがリタイアした作品だったので、改めて最初から視聴

 

最初の評価は、「平均ちょい下」「スパロボ30出演作品だと最下位ライン」だったが、自分の見方を変えてから、「平均やや上」「スパロボ30出演作品で平均ライン、レイアースとほぼ同じか、エルガイムのがちょい上のライン」という評価に変わった。

 

わたしの感想の変遷まで記した方が分かりやすいと思うので、まず最初に、微妙に思った理由から書いていく

 

  1. 戦う理由が謎い、下の流れだと解釈したが、かなり意味不明だった。なぜここまで頑張って手形を返そうとしているのかわからずに、主人公に狂気さえ覚えた
    1. 襲ってきた山賊を倒したら高額の貯金が入っている預金通帳を持ち主に届けてくれといわれる
    2. 届けるだけならわかるのだが、なぜか返そうとすると返したい相手の周りの兵隊とかが攻撃的な態度を取ってくる
    3. なぜか超がんばって返そうとする
    4. その後気が付いたら反乱軍に入っていた
    5. 気が付いたら敵の総大将に滅ぼされた国の跡継ぎが主人公だと判明する
  2. 展開があまりにもワンパターン。ほぼすべての話で下の流れになる。まさかラスト直前でまで同じパターンになるとは思わず、最後の方むしろ笑ってしまっていた。
    1. 方陣営か敵陣営が、相手陣営に突っ込む
    2. 突っ込んだ方か突っ込まれた方が、誰か人質にとる or 銃かナイフつきつけていうこときかせる
    3. なにかが起こって油断が生じて、つかまってるやつが逃げ出して逆転
    4. そのまま何も起こらずに話が終わるのが40/54話ぐらいまでのテンプレ
    5. もっと短くしてくれという思いと、毎回このかけあいを起こすギャブレーと味方陣営とで、コントでもしてるんじゃないかと思った
  3. ギャブレーが序盤なんでこんなに敵意をむき出しなのか謎
    1. 主人公たちが野営した時に作っていた料理をギャブレーが勝手に食べる
    2. 食い逃げと罵られる
    3. ギャブレーがヘビーメタルまで持ち出してプライドを傷つけられたといって切れながら戦う
    4. そのまましつこく味方陣営を追い続ける
  4. 戦いがほとんど局所的
    1. 敵が星々を支配している独裁者なのに、ミクロな戦いを繰り返しているのが大体40話ぐらい続く
    2. 29話でレッシィが指摘したうえでこのままじゃダメだと離脱するけど、まさかその後1クールも同じ展開が続くと思わなかった。視聴者の気持ちを代弁するキャラ用意するなら話の展開にも早く反映して欲しかった
    3. 後半で、隕石を敵の首都に落としてそれに乗じて一気にボスを倒して終わろうという作戦に出て、本当にこんなちんたらした戦い40話続けていて終わるのか?という疑問なんとか解消された
  5. 敵味方の入れ替わりロジックが謎
    1. エルガイムmk2は原型を敵から鹵獲して、メカニックも引き抜いて作られる。が、その場でメカニックが、ポセイダル軍に不満があったからといっても、すぐ反乱軍に入るのはご都合感をかなり覚えてしまった。
    2. カニック引き抜くときは全く怪しまずこっちに来いという雰囲気のキャオだが、味方に怪しい奴がいると責め立てる役だったので、陣営の基準がすごく謎だった
  6. クワサンオリビーの設定
    1. 前提、エルガイムは、ザブングルエルガイムZガンダムの順に放映されて、それぞれ前後番組の関係
    2. ザブングルのエルチ、エルガイムのオリビー’(ミアンも解釈次第で含める)、Zガンダムのフォウ、が大体似たような設定。なお、後番組になるほど境遇が酷くなる
    3. で、運の悪いことに、ザブングルZガンダムを観た後にエルガイムを見てしまったので、改めてアニメで見ると、この時期の富野の連作って全部同じ流れだったのか。。。と思ってしまって、3番煎じ感を強く覚えてしまった。本当はフォウを観たときに同じ感想を覚えるのだろうが、エルガイムを最後に見たので、エルガイムでこの感想を覚えてしまった。これはわたしの見る順番も悪い
    4. 時系列順にちゃんと見ていたら、フォウの声優がミアンと同じだったので、これエルガイムと同じノリで決めたキャラだろと、Zガンダムを笑いながら見ることが出来たと思う。なのでエルガイムを最後に見るのは一番下手な視聴順序だったと思う

 

以上が最初に感じた微妙な点で、正直かなり辛く思いながら40話以上見ていた。が、45話ぐらいから自分の見方が間違っていたということに気づき、評価が一気に上がった作品である。

 

先述の問題点は、ダバやギャブレーが重要なキャラとみなして、ダバ達反乱軍がポセイダルを打倒するまでのストーリーがエルガイムだと解釈した時に、視聴で違和感を覚える場面が多い。

逆に言うと、エルガイムが、「ダバ達反乱軍がポセイダルを打倒するまでのストーリー」でなかったと考えると、問題として薄くなっていくのだ。

 

エルガイムは敢えていうと、「ダバは主人公じゃない」「ポセイダルを倒す物語ではない」と思ってみた方が面白い。

エルガイムは本質的には、「戦争中に男に振り回されるが、自己が強い女性たちの物語」と思って視聴し、アム、レッシィ、リリス、フルフラット、ネイ、リィリィ、ミアン、などなどが本当の主人公であると思ってみると、一気に面白く感じられるようになった。

 

エルガイムはこれに限らず、わたしの視聴前の印象がかなり感想に悪影響を与えていた作品だったとも思えた。元々序盤のエルガイムが、アムとレッシィがラブコメディ、エロコメディやってるのが面白いギャグアニメで衝撃を受けていたのだが、エルガイムの真の主人公がアムやレッシィだったと考えると、シリアスパートに入る前に彼女らのコメディが入るのは、むしろ必然だろう。

 

そして、エルガイムの男性キャラは、筋を通った行動をする必要がそもそも存在しない。女性が振り回されてこそ、話が進む作品だからだ。

 

終盤のバトルにしても、アム vs リィリィのライバル関係が一番面白く、バトル中の2人の掛け合いセリフは、富野節がエルガイムの戦闘セリフで一番色濃く出たものだったと思えた。

 

補足すると、エルガイムで一番面白かった最終回は、間違いなく主人公のダバが面白くしてくれたものだった。

 

エルガイムmk2が壊れて。最後に残った第三勢力のギワザを倒すために、エルガイムに乗り換えて戦うのは、ロボットものの王道シーンとして素晴らしいシーンだった。OOガンダムの最終回にも受け継がれている、素晴らしい演出だった。

 

最終回が面白かったこともあり、最後まで見終わったら、スパロボ30出演作品の中でも平均的な面白さという感想になった。とらわれた敵がすぐ逆襲するのの繰り返しがメインなのが流石に辛いので、そこまで高評価はつけられないが、見てよかったと今は思えている作品である。

 

OPの演出がZぽかったり、最初がアム(CV本多知恵子)のギャグアニメからシリアスに移行するのがZZっぽかったり、女性がやたら強いせいでシロッコが頭にちらつくのがZっぽかったり、ZとZZを観る前に古典として履修する価値がある作品にも思えた。