ガンダムSEED FREEDOMの感想

ガンダムSEED FREEDOMの感想

 

流石に結構忘れているので、朝に公式のまとめを予習してから見に行った。予習したけど種死の方は最後5回見直してもよくわからなかった

 

最初だけネタバレ抜きの感想。その後ネタバレあり

 

 

令和でよくある量産型の工業作品映画です。鬼太郎誕生が最近の映画だと一番近そう。

 

採用すると面白くなるパーツを機械的に採用して組み立てた工業製品なので、普通には面白いです。

 

でもそれだけ。それ以上のプラスアルファがこの映画にあるか?っていうと、せっかくのSEEDってIPの秘めるハイコンテクストを全く生かし切れていない。

 

なので、よくある普通に面白い映画で、ガンダムに興味なければ特段見る必要はないと思う。ただ、令和式工業作品は結構ファン層が多いジャンルなので、そういうのが好きな人は見に行った方がいいと思う。

 

とここまで書いたが、令和式工業作品のファン層の多さを考えると、ガンダムってIPできちんとそれを作り上げることにはかなりの価値があると思うので、個人的には普通に面白いだけで付加価値の薄い映画だけど、作品として客観的に見ると大成功といっていい映画だと思う。

 

付加価値としては、はっきりいってSEED 運命がそこまで面白い作品じゃなかったところから中々深い付加価値を出している。キラ、アスラン、シンがそろい踏みで面白い作品が存在しなかったことから、自分はこの映画を見て初めてSEEDが面白かったと心の底から言えた。

よく葬式は笑ってお別れをしたいという人を見かけるが、SEED運命がお通夜で無言で......となってお別れしていたのが、ようやくこれで笑顔でSEED面白かったな。。。といえてお別れできるようになったといえる

 

SEEDを見ていた人にとっては、これだけで十分な付加価値といえるだろう。頼むから続編をもうつくらないで、このまま終わってほしいと思う。こんなに愛される葬式は恐らくめったにないだろう。(といっても最近だとシンエヴァがあったけど)

 

あとは、しっかりSEEDのきもい部分を受け継いでいたのがいいところ。SEEDって随所に気持ち悪さが出てる作品(脚本書いてる人がアスランのセリフを書こうとした人に、「あなたにアスランのセリフは書けない」っていって書かせなかったとか)で、キモいのがもはやSEEDの作風の一つだったと思うんだけど、そのキモさをしっかり継承しているのが、良くも悪くも偉かったと思う。

幼稚な戦争観(バルトフェルドが戦争は相手を皆殺しにするまで終わらないみたいにいって、後日スタッフがインタビューで戦争は条約を終わるんですよドヤみたいに言ってたりする)とか、軽いノリでのガンダムIP消費とか、LOW IQ POEMS としか受け取れないPOEMSとか。そういう幼稚なキモさまで含めて、SEEDって作品を形作ってて、不可思議な化学反応をした結果なんやかんやで長く愛された作品になったと思えているので、きちんとSEEDらしくキモかったことは非常に高く評価されるべきだと思う。

 

以後、ネタバレあり感想

 

前半の戦闘はとてもよかった。デストロイに対して、またかよみたいに言ってるの、本当に視聴者の心を代弁していたし、出てくるMSもよかった。

 

特によかったのは、ギャンとゲルググ。アニメで年月を表現するのって難しくて、見た目を大きく変えたりとかしないとなかなか伝わらない(ワンピースが分かりやすいかも)んだけど、ガンダムってIPを利用することで、MSの型式が進んでいることで年式が楽に表現できる。もし続編が出来たとしても、ガブスレイやバウンドドッグやハンマハンマを出せば年数が進んでるってなにも絵面が変わらなくても伝わる。これはガンダムIPの強さを出していて、とても効果的。

 

ただ、ゲルググ出してるのにギャンが量産されてるって設定はそれなら何とかしてほしかった。こういう細かいところでの詰めを甘く思ってしまうのがこの映画。

 

本編はキララクスが話の軸だけど、はっきりいってこいつらメインでも盛り上がらないと思った。そんなに掘り下げるほどこいつらの関係性深いか?

前半はラクスの心が揺れ動いているかも?みたいに見せたかったのかもしれないけど、婚約者がいるのにいつの間にか別の男に乗り換えていた女の心が揺れ動いていても、フーンで終わってしまって、SEEDを全く見ていない人向けなのか?と思ってしまった。

 

あとはラクスってキャラの扱いの難しさが裏目に出たと思っていて、ラクスはSEEDだと何も考えてなさそうでよく考えているキャラとデザインされていて(視聴者からはやっぱり何も考えてないだろとも言われたりはしていたが)、それを続編でやったらよく考えているキャラにしかならないので、浅いキャラにしかならない。そういうのを考慮したうえで、種死だとミーア・キャンベルがいたんだと思うけど、それがいなかったらどうなるかっていうと、特に深みのないキャラだなぁって感想になってしまって、前半のパートがとにかく苦痛で仕方なかった。

何の前知識もない方が楽しめそうなのおかしいだろと思った。でもそのキモさがSEEDなのかもとも思って、なかなか見る側を試す作品だなと思った。

 

前半はキラがなんか操られているところがよくわかんないのがトップレベルに駄目。結局よくわからないで勢いで押してるけど、あれが出来るなら後半負けないだろって思った。

 

逆に前半良かったで賞は、ルナマリアが射撃外したところ。射撃が苦手なのに射撃機のルナザクに乗ってると連座2でよくネタにされてたのが、いい意味で再現された。射撃苦手なやつに射撃打たすなよ、外したー!!設定覚えていてえらい!ってなった。

 

他にはキラってスーパーコーディネーターじゃないの??ってめちゃくちゃ疑問に思いながら見ていた。

 

後半、というかアスラン登場以降はとても面白い。まずズゴッグなだけで面白い。明らかに笑いを取りに来ている。あとはシンも普通に笑いを取りに来ている。

 

で、そう思っているとここら辺から記号化のオンパレード。

 

アグネスはクェスの記号化だし、なんかフリーダムはクロスアンジュで見たし、フリーダムビームはバスタービームスラッシュだし、オーバーボディの下から本体はキン肉マンのザ・サムライから続く定番ネタだし、アスランの妄想はキングゲイナーのサラへの告白だし、打開策はジョジョのダービー弟だし、なんかいろんな作品で一度は見たことある要素をSEEDっぽくアレンジして畳みかけて後半ってイメージで、後半はまさに令和的な工業作品というイメージ。

 

あと、ギレンの演説のオマージュキタと思ったら、「優良種たる我らこそ人類を救いうるのである」というどう考えてもおあつらえ向けな発言がなかったのがかなりの減点。映画の評価は優良可で可なのだが、これがあったら良になったぐらいの減点。

 

後半は普通に面白いだけだとは思ったけど、戦争観の幼稚さというSEEDのキモさと、結局キラが最強というところと、アスランの脚本を書いていた人が一新されたことから出来る新しいアスランの見せ方が出来ていたところは、SEEDの続編としてとてもよかったと思う。ラストシーンのキモさはSEEDのキモさが本当に詰まってるって思った(誉め言葉)

 

というのがだいたいの感想。褒めてるのか褒めてないのかよくわからないという人が多分多いと思うのだが、連座シリーズで多分1000時間単位で遊んでいたので、そんな作品への感想は褒める褒めないとかいう2軸で測れるもんじゃないので、もうただのお気持ちを書き連ねただけと思ってくれた方がいいと思う。