続き。平易な範囲で。
存在する構築のタイプを有限種類でnタイプとする(ふつうはカードゲームのカードは有限種類なので、何枚でも入れていいカードがある + デッキ枚数が無限というmtgのような例外を除くと、nは有限である。天文学的数字にはなりうるが)
それらの分布を{p_i}として、対応する自分の勝率を{x_i}とすると、
sum( p_i * x_i }
が自分の勝率の期待値である。
で、前回はここでチェビシェフ不等式の証明に使う補題をそのまま適用したら、「数が薄い構築には弱くしてでも、数が多い構築に厚くした方がいい結果が出やすい」ということの示唆が得られたという話。
今回はどの程度、厚く・薄く、したらいいのかという話。
上のsum だが、i番目の勝率は、p_i * x_i + (定数) という形なので、シンプルに1次関数である。なので、x_i の変化量の勝率への寄与度は、シンプルにp_i に比例するといえる。
例えば、環境存在率30%のデッキAと環境存在率10%のデッキBがあったとして、Aに5%強くして、Bに10%弱くすると、 5* 30 - 10 * 10 >0 なので、期待値が上がるチューニングを行ったといえる。
だが、Aに5%厚くして、Bに20%落とすようでは、5*30 - 20*10 < 0 なので、期待値が落ちるチューニングといえる。
基本的にキャラ選択や構築チューニングはトレードオフだが、よほど相手に依存しないソリティアでもしない限りは、環境の比率まで考慮しないとよいチューニングはできないという事だ。
まとめ
- 環境に少ないデッキには薄くして、環境に多いデッキに厚くする方がいい傾向になりやすい示唆はあるよ
- 具体的に構築の分布が予想できるときは、どの程度まで環境に多いデッキに厚くして薄いデッキに薄くしていいのか定量化できるよ
- 流行りに厚いチューンするのが正解なことも多いし、流行りに厚いチューニングするのが間違いなことも多いし、どう選択するか結構難しいよ
- よほど一つのデッキが支配的とかじゃない限りは、極端なチューンすると悪い結果になりやすいよ